★★★
ジャケットからしてモロだが、本作は要するにポール・ウェラー版『村の緑を守る会』なのだ(ってことは小野島大も書いてましたな)。ジャム時代には「David Watts」や「Dead End Street」をカヴァーしていたし、彼がこういうキンクス的なアルバムを作ったことには何の不思議もないんだけど、映画『ホット・ファズ』の感想でも書いたような最近の密かなキンクス・ブームは、2010年代に向けた傾向として記憶に留めておく必要があると思った。
ただ、全21曲68分という長尺なので、キャッチーな曲の不在がどうしても気になる。スタイル・カウンシル末期にアシッド・ハウスを意識して作った『Modernism: A New Decade』(まあ、ライラック・タイムまでもがヒプノトーンのプロデュースで「Dreaming」なんてシングルを出していた時代だし)がお蔵入りになって以来、ポール・ウェラーという人は時代と寝るのをやめると同時にキャッチーな曲を書くことも避けるようになってしまった。で、それを続けているうちにキャッチーな曲を書く能力すらも失ってしまったのではないだろうか。まあ、『Catch-Flame!』を聴けば分かる通り、ライヴではそういった部分をジャム時代やスタカン時代の楽曲で補完しているから問題はないにしても、オリジナル・アルバムだとどうしても不満は残ってしまうわな。
Paul Weller - Have You Made Up Your Mind