シー・アンド・ヒムのデビュー・アルバム『Volume One』の発売まであと2週間! というわけで、それまでの時間を使って、この1月にズーイーがKCRWの看板番組『Open Road』に出演した際の模様を当ブログ上において再現していこう。これはシー・アンド・ヒムの音楽性を解き明かしていく上でも非常に重要なインタビューになっていると思うので。おいらと同じ1980年生まれで、ここまで音楽に詳しい/音楽を愛しているハリウッド女優がいるってことに物凄く勇気づけられるぜ。
ゲイリー・カラマー(以下、G)「まず最初に言っておいた方がいいと思うんだけど、僕達が会うのはこれで3回目なんだよね。最初はブライアン・ウィルソンの『SMiLE』のショウの時で、席がたまたま君の隣だったんだよね」
ズーイー・デシャネル(以下、Z)「『SMiLE』を観たのはあの時で5回目だったんだけど、回を重ねるごと良くなっていってると思うわ」
G「で、その次はピート・タウンゼントのチャリティ・ライヴで。しかもまたもや席が君の隣! それで、僕等には特別な繋がりがあると思ったんだよ」
Z「2人とも良い音楽が好きってこと!」
G「もしくは2人とも同じダフ屋からチケットを買ったか」
Z「(笑)」
G「だから、こうやってまた会えるだなんて嬉しいね。ところで、M.ウォードとアルバムを作ったんだって?」
Z「そう、私の出てる『The Go-Getter』って映画のサントラの為に彼とデュエットすることになって、彼とはその時が初対面だったんだけど、音楽の趣味がすごく似てたりしてとっても気が合ったから、私がこれまでずっと録り貯めていたデモを聴いてもらうことにしたの。そうしたら彼が〈こんなに曲があるんだったら一緒に何かやろうよ〉って言ってくれて…」
G「これまでも音楽活動はしてたの? 映画では結構歌っている印象があるけど」
Z「曲はずっと書いてたけど、ライヴはあんまり。サマンサ・シェルトンとキャバレー・バンドはやってたけど、自分の曲は演奏したことがないわ」
G「1つ気になってたんだけど、M.ウォードのことは普段何て呼んでるの? やっぱり"エム・ウォード"?」
Z「"マット"ね。彼の本名は“マット・ウォード”だから」
G「なるほど。じゃあ、まずは君達のアルバムから1曲聴いてみようか」
(続いて以下の3曲が放送される)
She & Him 「Sentimental Heart」
The Orlons 「Goin' Places」
Wanda Jackson 「Funnel Of Love」
The Orlons - The Wah-Watusi
G「"Sentimental Heart"に続けて聴いてもらったのは、オーロンズの"Goin' Places"とワンダ・ジャクソンの"Funnel Of Love"。どちらもズーイーが持ってきてくれたCDからのチョイスです。何か言っておきたいことはある?」
Z「ワンダ・ジャクソンは大好きなの。まさに“女エルヴィス”って感じ。しかも当時は〈女にロックンロールなんてできるもんか!〉なんて思われていた時代なのにあれだけ活躍していたんだから、本当に凄いと思うわ。本物のロックンローラーね」
G「彼女は今でもまだライヴをやってるよね」
Z「オーロンズは"The Wah-Watusi"が有名だけど、"Goin' Places"の方は私も最近まで知らなくて。でも、聴けば分かる通り、めちゃくちゃキャッチーでしょ。一発で気に入ったわ」
G「どちらも君が生まれる前の曲だよね」
Z「なぜだか知らないけど、いつも自分が生まれるより前の曲を好きになっちゃうの(笑)。両親がどちらも音楽好きだから、その影響もあるのかもね。特に父は家だといつもレコードをかけてたし。ボブ・ディランにニール・ヤングにリンダ・ロンシュタットにエリック・クラプトンに…」
G「お父さんはカメラマンなんでしょ?」
Z「そう、映画のカメラマン」
G「君が音楽について話してるのを見ていると、どうしても『あの頃ペニー・レインと』での君の役柄を思い出しちゃうんだけど。弟にロックンロールの魅力を伝える、音楽に詳しいお姉さん。今の君そのまんまじゃん!」
(この項続く)