名曲“Sex & Drugs & Rock & Roll”は、イアンが口ずさんだメロディから作られたんだけど、後にそのフレーズがオーネット・コールマンの“Change Of The Century”でのチャーリー・ヘイデンのベース・ソロだと気づいたということを、ライナーの中でチャス・ジャンケルが語っていて、オーッて感じです。どんだけ引き出しが多いんでしょうね。
うわー、これは目から鱗だわ。
Ian Dury and the Blockheads - Sex & Drugs & Rock & Roll
イアン・デューリーの音楽って、どこまでも胡散臭いのが本当に素晴らしいよな。それでいてバリバリ踊れるし。「洒落てる」ってのはまさにこういうこと。自らが小児麻痺であることをわざと強調したかのようなステージ・アクションもかっちょいいぜ。
そういえば、先日発表されたNMEアウォーズ2008のノミネーションでベスト・ソロ・アーティストの候補になっていたジェイミーTの『Panic Prevention』は、その中身はもちろんだけど、それと同じくらい楽しかったのはジャケットにイアン・デューリーのLPが2枚も写ってたってこと。これはたとえばオアシスの『Definitely Maybe』のジャケットにバート・バカラックの写真が写っているのと同じようなもので、こういう「ヒント」を読み解いていくことによって音楽って何倍も楽しくなると思うんだよね。じゃないと「Half The World Away」がバカラックの「This Guy's In Love With You」のパクリであることの文脈が見えてこないし。
話が脱線したけど、おいらがイアン・デューリーのアルバムのベスト3を選ぶならば、1位『Do It Yourself』、2位『Mr. Love Pants』、3位『New Boots and Panties!!』になるかな。遺作となった『Mr. Love Pants』は、知名度は3枚の中で最も劣るけれど、全盛期に匹敵するコクのあるグルーヴがやたらとポップに展開されている(「Itinerant Child」なんてまるでポール・マッカートニーみたい)ので、イアン・デューリーの入門盤としてもお勧め。これはキャプテン・ビーフハートの『Shiny Beast』や『Doc At the Radar Station』にも通じる傑作!と思ってるんだけど、例えが分かりにくいですかそうですか。