Ian Dury/New Boots And Panties!!
★★★★★
ドクター・フィールグッドだってもちろん良いんだが、白人も黒人も、小人も小児麻痺の人間だっている、酒を媒介とした(低所得層の)人種の坩堝であるパブという場から生まれた「パブ・ロック」というジャンルを最も体現したアーティストを挙げるとなれば、イアン・デューリーに尽きるだろう(実際に彼は小児麻痺だった)。
オープニング曲「WakeUp And Make Love With Me」でのウサン臭い東洋風のイントロ! コックニー訛り丸出しのヘナチョコ・ボーカル! このB級な人懐っこさと黒人音楽と白人音楽のミクスチャーこそがパブ・ロックの肝なのだと思う。ボーナス・トラックとして大名曲「Sex And Drugs And Rock And Roll」も収録。
『Run Devil Run』とはジーン・ヴィンセント繋がり(「Sweet Gene Vincent」という楽曲あり)であり、さらにポール・マッカートニーはイアン・デューリーへの追悼トリビュート・アルバム『Brand New Boots And Panties』で本作収録の「I'm Partial To Your Abracadabra」をカバーしているのだから、ビートルズ・ファンにとっても決して無関係なアルバムとは言えないはずだ。