Clap Your Hands Say Yeah/Some Loud Thunder
★★★
前作が『The Velvet Underground & Nico』だったとするならば、今作はさしずめ『White Light/White Heat』か。タイトル曲でデイヴ・フリッドマンが作り出した強烈に歪んだ音像は、「Sister Ray」を意識していないとは言わせないぞ。
ただ、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド自体はおいらも大好きだし、ヴェルヴェッツ風なギター・ロック・サウンドも決して嫌いではないんだけど、クラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤーの場合は、まだそれが単純なコード進行と起伏の少ないメロディに対するエクスキューズにしかなっていない場面も多いように見受けられた。でも、ジェイムズ(祝、再結成!)の諸作(特に『Laid』がお勧め)を聴けば明らかなように、ヴェルヴェッツの影響下でも、単純なコード進行でも、起伏のある美しいメロディを生み出すことは充分に可能なはずなんだけどな。
あと、ヘロヘロな演奏と歌声が内向きな批評性を感じさせるところなんかは、いかにもニューヨークなバンドだなあ、と。そんなスノッブな場所で堂々とビートルズをやってみせたラモーンズは、だからこそ偉大なのであるし、だからこそあれだけ大きな影響力を持ち得たわけだ。そんな系譜を受け継ぐクイアーズの『Munki Brain』は、だからこそ必聴の傑作なのである! いや、最近はもう何を聴いてもクイアーズを連想してしまうもんで。全11曲47分。