★★★
元ジーザス&メリー・チェインのジム・リード(とベン・ルーリー)が結成した新バンドの1stアルバムがようやく発表。実はこのバンド、すでに活動停止済みで、本作もライブ音源が10曲も収録されているところを見ると、アルバム1枚を満たすほどのスタジオ音源を録音できなかったのだろう。もうジザメリ解散から8年も経つってのにマイペースというか何というか。
兄貴のウィリアム・リードがやっているレイジーケイムのサウンドがボソボソとした弾き語りを中心としたものであるのに対し、こちらのサウンドは比較的輪郭のはっきりしたポップ・ロック。二人ともジザメリのラスト・アルバムである『Munki』の延長線上にあるサウンドを奏で続けているのを見て、やはり『Munki』は彼等の最高傑作であるとの思いを強くした。
リード兄弟は基本的にソングライティングのバリーエーションが1つしかないので、ある程度コンセプトなどを決めて録音していかないと散漫な内容になってしまうのは明らかなんだが、こんな寄せ集めのコンピレーション盤ではそれを望むべくもないわな。まあ、そこがリード兄弟らしいっちゃあらしいんだけど。
ちなみに、シスター・ヴァニラの『Little Pop Rock』(傑作)の収録曲であった「What Goes Aound」「Down」「The Two Of Us」の3曲がジム・リードをメイン・ボーカルに据えたバージョンで収録されており、あのアルバムはリード兄弟にとっても00年代前半の活動の集大成であったことがよく分かる。
相変わらずの天邪鬼な空元気に満ちた全17曲58分。まるでジザメリのB面集のような。