The Professionals/I Didn't See It Coming
★★★
元セックス・ピストルズのスティーヴ・ジョーンズとポール・クックが結成したプロフェッショナルズの唯一のオリジナル・アルバム(81年発表)。パンク・ロックの隠れた名盤として名高いので今更ながらに聴いてみたんだが、結果としてはピストルズの『勝手にしやがれ!!』におけるプロデューサーのクリス・トーマスの貢献度の高さを痛感させられる事になった。
というのは、当時のパンク・ロック・アルバムのほとんどが「現場の実況中継」的な録りっぱなしのサウンドであったのに対し、『勝手にしやがれ!!』はクリス・トーマスがスタジオ・ワークを駆使して作り上げた、非常に作為的なサウンド・プロダクションの異色作なのだ(この辺りについては『クラシック・アルバムズ:勝手にしやがれ!!』詳しい)。だからこそ『勝手にしやがれ!!』はタイムレスかつウェルメイドなポップ・アルバムに仕上がったのだとおいらは考えている。ところが、クリス・トーマス不在の本作ではその他大勢のパンク・バンドと同じく「現場の実況中継」になってしまっているので、『勝手にしやがれ!!』の4年後に発表されたにも関わらず、『勝手にしやがれ!!』よりも古臭さく聴こえてしまうのだ。もちろん、ニュー・ウェーヴ勢の影響といった時代的なものも少なからず関係しているんだけどさ。
末期ピストルズの「Lonely Boy」「Silly Thing」路線を引き継いだポップな楽曲は、スティーヴ・ジョーンズの威勢のいいへなちょこボーカルと相まってなかなかにチャーミング。2001年に発売されたUK盤CDではメンバー・チェンジ以前の第一期プロフェッショナルズの音源がボーナス・トラックとして収録されているので、現在入手するならばそちらをお勧め。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「White Light/White Heat」のカバーが素敵やね。