映画『The Big Empty』
(監督・脚本:スティーヴ・アンダーソン)
★★
『スウィンガーズ』はダグ・リーマンの出世作であると同時に、ジョン・ファヴローの出世作でもあった。今でこそ『エルフ サンタの国からやってきた』(大傑作)や『ザスーラ』などで監督付いているジョン・ファヴローだが、元々この人は役者志望であって、だからこそ『エルフ』とほぼ同時期に本作のようなインディー映画に主演してしまうのだろう。
まあ、映画としては全く大した代物ではない。中盤までは『トランスポーター』+『ムーンライト・ドライブ』なストーリーなんだが、最後に何故か『未知との遭遇』になって終わるというトンデモ映画なのだから。よくよく考えてみると『アウターリミッツ』で放映されていたとしてもおかしくない内容にも関わらず、観ている間にそういう好印象を全く受けないのは、後半のトンデモな展開に持っていくまでの前振りが長すぎるからだ。やっぱりこれは60分で完結させるべき話だよな。
というわけで、最後まで苦痛を感じずに観ていられるのは役者の魅力に負うところが大きい。相変わらず太り過ぎのジョン・ファヴローはアンタッチャブルの山崎弘也に似ているし、バッド・コートはチビでハゲで挙動不審だし、ショーン・ビーンはカウボーイだし、何よりも女性陣(レイチェル・リー・クック、ジョーイ・ローレン・アダムス、メロラ・ウォルターズ&ダリル・ハンナ)が本当に綺麗に撮られているのだ。特にレイチェル・リー・クック。彼女がこんなに魅力的に撮られているのってマジで『プッシーキャッツ』以来じゃないか?