Charlotte Hatherley/Grey Will Fade
★★★★
アッシュのギタリストであるシャーロットの1stソロ・アルバム。ギタリストのソロ作という事で、てっきりギター・ソロありまくりのオナニー色の強いものになるのかと思っていたら、その予想は良い方に裏切られた。ギター・ソロはほとんどなく、全編「うた」で埋め尽くされたとびきりのポップ・アルバムだったのだから。
本人曰く、XTCやB-52'sといった80年代ニュー・ウェーヴの線を狙ったらしいが、確かに全10曲41分と1曲の長さは決して短くないものの、どの曲も普通のポップ・ソングの2曲分ぐらいの展開が詰め込まれているので全く飽きる事はない。アメリカナイズが進行しているアッシュでの活動の反動という側面もあるのだろう、物凄く英国的なひねくれポップに仕上がっている。
嬉しいのは、ヘレン・ラヴの「Punk Boy」なんかをカバーしていた頃の初期アッシュが持っていた軽やかさがこのアルバムには備わっているという事。別に現在のアッシュが駄目になったとは思わないが、灰汁出しでこれだけのレベルの作品が出来るのであれば、今後も継続的な活動を期待したいところ。
スローなナンバーでは、ほのかに漂うオルタナ風味が悪い方向に作用してつまらなくなっているとはいえ、処女作としては満点の出来だろう。っていうかもしかしたらシャーロットってティム・ウィーラーよりも才能あるんじゃねえの?