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ロック史上最低のタイトルが付けられた、オーストラリア出身の3ピース・バンドのデビュー・アルバム。
「Hey Hey Baby」のビデオクリップや、「I Wanna Cut My Hair Like Marky Ramone」といった曲などで、以前からラモーンズのファンである事を表明してきた彼女達だが、本作もあまりに正しくラモーニーな傑作なのであった。それは歌詞の中に「ガバ・ガバ・ヘイ!」といったフレーズを織り込めば済むといった問題ではなく、ロネッツからの影響丸出しな「Steal And Kiss」なんて曲があったり、エンジェルズの「わたしのボーイフレンド」のカバーがあったりするなど、オールディーズ趣味なところまで含めて正しくラモーンズ的なのだ。
そりゃあ、アンラバブルズの1stアルバムのような怒涛の完成度には及ばないし、演奏力だってまだまだなのだが、「ヘタウマ」に甘んじる事無くウェルメイドなポップ・ソングを作ろうという意志は痛いほど伝わってくるのだから、心動かされなけりゃ嘘ってなもんで。ポップ・パンク・バンドにあるまじき細かいコーラス・アレンジは文句無しに素晴らしい。「Cigarettes」とか聴いてるだけで涙が出てくるよ。
「The Sunshine Drive」はウィンピーズとマッハ・ペリカンのメンバーが書き下ろしたものだし、さらには「Zatopeks」なんてタイトルの曲があったりと、海外のバンドとの交流も深いらしいので再来日公演にも期待したいところ。
一つだけ文句を書いておくと、意図的なものなのは分かるけど、彼女達のテーマ・ソングである「Let's Get Spazzy」(名曲!)はぜひとも収録してほしかったな。というわけでMP3へのリンクをはっておこう。こちらを右クリックで保存して聴くよろし。
アルバム全体から漂ってくる「ふてくされた女の子の純情」ってな感じがとてつもなく甘酸っぱくて切ない一枚。先行シングルにもなっていた「Paco Doesn't Love Me」を例に挙げるまでもなく、この人達も(ユーモアたっぷりに)「叶わぬ恋の歌」ばかり歌っているのであった。全14曲35分。必聴。