フリートウッド・マックの『噂』再評価の決定版! 『デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃』はフリートウッド・マックとスティーヴィー・ニックス、そして彼等の代表作である『噂』にまつわる顛末を下敷きとしたTVシリーズだ。つまりはキャロル・キングにおける『グレイス・オブ・マイ・ハート』のような作品ですな。原作はデイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックス(およびその関係者)へのインタビューをまとめたノンフィクションという体裁を採っていたのに対して、TVシリーズの方は普通のドラマ作品に近い作りになっているので観やすくはなっている。
監督・脚本は『いま、輝くときに 』のチームを中心とするメンバー。架空のバンドである「デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックス」の楽曲はブレイク・ミルズが中心となって具現化し、ソングライターとしてフィービー・ブリジャーズやジャクソン・ブラウン(!)、マーカス・マムフォードなども参加。原作ではデイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスの唯一のアルバムである『AURORA』の全曲のタイトルと歌詞が掲載されているんだが、その中からは「Aurora」「Regret Me」「Please」の3曲が再現、またデイジー・ジョーンズとザ・シックスが組むきっかけになった「Honeycomb」も「Look At Us Now (Honeycomb)」としてサウンドトラックに収録されている。ただし、歌詞や曲調は原作で記されているものとは全く違うので、原作の忠実な再現ではなくて、あくまでも音楽としての完成度を優先して作られているのだと思う。サウンド自体は『噂』期のフリートウッド・マックにかなり近いです。