映画『Lost In London』(監督:ウディ・ハレルソン)観賞。★★★。
ウディ・ハレルソンの監督・脚本・主演による世界初の「生放送映画」。もちろん、初期のテレビドラマは(舞台中継の延長線上にある)生放送が大半であり、映画館においても舞台中継のライブ・ビューイングは何度となく行われてきている。しかし、それらと本作が大きく違うのは『Lost In London(ロンドンで迷子)』というタイトルからも分かる通り、ロンドンの街中で大胆なロケーションを敢行している点だ。しかも、この生放送はたった1つのカメラのみで撮影されており、100分1カットの超長回し映画でもあるという特殊性も兼ね備えている。もちろん、生放送というフォーマットによって発生する演者と劇場の観客の「共犯関係」こそが本作の大きな醍醐味だったわけで、たとえばニュージーランド国民を本気で騙すことを目的として企画された『コリン・マッケンジー』と同じように、1回限りのネタの残存物という感じがしないでもないんだが、脚本自体はバックステージ物のコメディ映画として奇をてらうことなく作り込まれているので最後まで飽きることなく楽しめる。ちなみに、本作はウディ・ハレルソン本人の実体験に基づいているらしいが、彼が新聞を読んだところから物語が始まるという着想はビートルズの「A Day In The Life」を下敷きにしたのだろう。だからこそ、同曲の歌い出しの歌詞(「I read the news today, oh boy」)が台詞の中にわざわざ織り込まれているのだ。