『ウィ・アー・ザ・ベスト!』の予告編にもある、クラーラがヘドヴィグの髪を切るシーン。あそこでは演出じゃなくて本当に間違ってヘドヴィグの耳を切りそうになっているんだけど、そういう魔術的な瞬間/役者の自然な表情が幾つも刻まれていて、映画にきちんと収まっているのがルーカス・ムーディソン作品の素晴らしさ。
ちなみに『ショー・ミー・ラヴ』のラスト・シーンの「ココアの話」、あれは主演のアレクサンドラ・ダールストレムのアイデアから生まれたシーンで、あそこでの演技は完全にアドリブだそうだ。もともとの脚本では2人が学校から出ていくところで終わりだったとのこと(これはこれでルーカス・ムーディソンの反骨精神が伺えて興味深い)。だから最後の2人の表情、2人は本当に楽しくて笑っているのだ。ああいうのを見たいからおいらは映画を観ているといっても過言ではないっすよ。あのシーンがあることで、彼女達の人生はこれからも続いていくのだ、という心地よい余韻が生まれていると思う。
↑2010年にスウェーデンで行われたQXゲイ・フェスティバルで『ショー・ミー・ラヴ』の主演の2人がリユニオン。舞台上でココアを飲むのが泣ける。レベッカ・リリエベリは役者を引退して公の場にずっと姿を見せていなかっただけに尚更。