5月に発売予定のレジーナ・スペクターの新作『What We Saw From The Cheap Seats』からの新曲「All The Rowboats」のPVが公開。ちなみにこの曲、なんと7年前にはすでに書き上がっていて、その証拠に当時のライヴでも披露されているのだった。レジーナ自身はこの曲の存在を最近まですっかり忘れていて、ネット上に音源がアップされているのを発見して思い出したらしい。というわけで、おいらが3年前に書いたことを改めて引用しておく。
ここから何が分かるのかというと、レジーナは新作アルバムを作るために無理矢理に曲をひねり出しているわけではなくて(別にそういうやり方が悪いとは思わないが)、日頃から常に曲を書きためていて、自分の進みたい方向性に合った曲をストックから引っぱり出してくるという、ポール・マッカートニーなんかに近いタイプの多作型シンガー・ソングライターであるということだ。ポール・マッカートニーについては『The Piano Tape』というブートレッグを聴けば丸分かりなんだが、なにしろ1977年の超特大ヒット・シングル「Mull Of Kintyre」も、1979年のアルバム『Back To The Egg』収録の「Getting Closer」も、すでにこの1974年の時点で披露されているんだから驚きだよ(ついでに書いておくと、ここでのポール・マッカートニーは完全にダニエル・ジョンストンだ)。
Put it on the Floorさんの『Far』のレビュー(「Wallet」の歌詞を訳されてもいるので必読)で書かれていた「手間をかけて凄く精巧に作られたに違いない、実際、非常にクオリティの高い作品なのに、まだまだ余裕が見える感じ」というのは、彼女のこういうところから来ているのではないかと。