映画『スペイン一家監禁事件』(監督:ミゲル・アンヘル・ビバス)観賞。★★。
個人的にはこういう映画があるからこそ、『アリス・クリードの失踪』の価値を高く評価している、って感じかな。こういう系の作品にありがちなレイプだったりグロい肉体破壊描写がない、という点がきちんとフックになっているのが『アリス・クリードの失踪』の面白さだったわけで。
娘役の女優の感情をダダ漏れにさせたやりすぎ演技は、いかにもホラー系のヘタクソな監督が演出しがちな間違い。あれは「鬼気迫る」というよりは抑制が利いていないだけだ。先述のレイプだったり肉体破壊描写に加えて、このやりすぎ演技を見て、「ああ、監督はそっちの人なのね」と。あと、オープニング・シーンはフラッシュフォワードじゃないのかよ! 意味ねえじゃん。まあ、1シーン(ほぼ)1カットという作りにした意気込みは買うけど(『SR サイタマノラッパー』か)。
そういえば、wad's 映画メモの『CUBE』評が、どうして『アリス・クリードの失踪』が良くて『スペイン一家監禁事件』が駄目なのか、という説明にもなっていると思ったので引用しておく。「登場する人々は、まあ最初はある種のステレオタイプとして提示される。映画が進むにつれて、最初に提示された類型的な像がインタラクションの中でぼやけていき、反転とか交替とか交換が起こり、極限状況の人間関係のサスペンスが生じてくる、というふうになるのかと思ったら、最後までそのステレオタイプで押し進めやがった。これはちょっとまずいでしょう」。