映画『ジュリエットからの手紙』(監督:ゲイリー・ウィニック)観賞。★★★。
ゲイリー・ウィニックをそれほど優れた監督だと思ったことはないものの、ジェニファー・ガーナーが最もチャーミングに撮られている快作『13 Love 30』のおかげで、自分の中で切り捨て難い存在になっていたのは確かなのだった。そんな彼の遺作。
アマンダ・セイフライドは『ミーン・ガールズ』での印象が強かったこともあって、おいらの中では未だに悪役イメージが強いんだが、そんな彼女がきちんとヒロインとしてキュート&チャーミングに思えるのだから、それだけでロマコメとしては合格だろう。本作は「男2人に女1人の三角関係」の変則ヴァージョンなので、「男2人に女1人という三角関係を描く場合、その女の自意識がテーマになっていると、男2人のうちのどちらかを選ぶかという話がかなり冷徹なものになってロマンティック・コメディになりにくい」という鉄則に従って主人公の自意識をあえて描いていないところもゲイリー・ウィニックのクレヴァーさだ(アマンダ・セイフライドは自分のキャリアのことで悩まないし、ガエル・ガルシア・ベルナルはどこまでもチャーミングだ)。本作の撮影中にゲイリー・ウィニックが自らの死を覚悟していたのかは知るよしもないにせよ、彼は最後の最後まで手堅いプログラム・ピクチャー作家であり、人々に幸せを届けようとし続けた人情派だったのだなあと実感させられた。『(500)日のサマー』の日本での受け止められ方を見ていると、それでもまだこの主人公のことを「ビッチ!」とか言う奴が大量に出てきそうな気がするけれど、そんな輩はゲイリー・ウィニックの亡霊に殺されてしまえばいいのに。
ちなみに、本作でサウンド・ミキサーを担当しているのはケン・イシイ。