★★★
TLC『FanMail』とデスチャ『The Writing's On the Wall』という90年代末を代表する2大R&Bアルバムの成功をソングライターとして支えたキャンディ。その勢いに乗じて発表されたソロ・デビュー作『Hey Kandi...』は傑作だったし、2001年の来日公演はセットリストに他アーティストへの提供曲をガンガン盛り込んでくれて最高だったんだが、売り上げが伴わずにレコード会社からはクビ、ちょうどその頃に子供が生まれたということもあって、彼女は音楽シーンの表舞台からは姿を消してしまうのだった。
そんな紆余曲折を経ているだけに、こうやって無事に10年ぶりとなる2ndソロ・アルバムを聴くことができたのはめでたい限り。年を重ねて、太って、バラードが増えたというありがちなパターンに陥っているのは少々残念ではあるものの、2009年に彼女の元婚約者が殺害されるという悲劇的な事件が起こっているだけに、それも致し方ないかな、という気はする。本作にもニーヨが参加していたりと、きちんと後輩からも敬意を払われているみたいなので、今後も3〜4年に1枚ぐらいのペースでいいからアルバムを出し続けていってもらいたいな。エクスケイプ時代の同僚であるタミカ・スコットが参加しているのも嬉しい。全15曲52分。
ちなみにおいらは女性職業作家の自演作フェチ(キャロル・キング『Brill Building Legends』、エリー・グリーニッチ『Brill Building Sounds』、キャシー・デニス『Am I Kinda The Girl?』、ジャッキー・デシャノンの諸作等)なので念の為。ついでに言っておくと、あんまり曲を書かない人の自作曲フェチ(ビートルズでのジョージ・ハリスン作曲のナンバーを集めて聴く、XTCでのコリン・ムールディン作曲のナンバーを集めて聴く、エッグマン『First Fruits』等)でもある。
『Hey Kandi...』からも1曲↓。