映画『Mr.ゴールデン・ボール/史上最低の盗作ウォーズ』(監督:ジャレッド・ヘス)観賞。★★。
ジャレッド・ヘスのオフビートな作風とジャック・ブラックのオンビートな芸風が全く噛み合っていなかった前作『ナチョ・リブレ 覆面の神様』に比べるとまだジャレッド・ヘスの持ち味が発揮されているとは思うんだが、そもそもジャレッド・ヘスの出世作である『バス男』が面白かったのは「素人役者(のように見える人達)に演技をさせないまま台詞を読ませる」という低予算映画の弱点を逆手に取ったミニマルな方法論が新鮮だったからであって、本作のように名のある芸達者な役者陣がこれ見よがしな棒読み演技を延々と繰り広げてもあざといだけなんだよ。
タイカ・ワイティティのようにジャレッド・ヘス以上にジャレッド・ヘスらしい映画監督が登場してしまった以上、自家中毒に陥っている現在のジャレッド・ヘス本人には存在価値などないに等しいと思う。
↑『Mr.ゴールデン・ボール』とタイカ・ワイティティの『Boy』の予告編を見比べてみれば、どちらがフレッシュかは一目瞭然。アカデミー賞へのノミネート〜『イーグルVSシャーク』の高評価を経て、子供達を中心に据えた映画を撮ったタイカ・ワイティティは「ジャレッド・ヘス的な作風」の醍醐味をジャレッド・ヘス以上に理解している聡明な人だと思う(ちなみに『イーグルVSシャーク』で主演を務めたフライト・オブ・ザ・コンコルズのジャメイン・クレメントは、『Mr.ゴールデン・ボール』にSF作家役で出演している。つまり今はジャレッド・ヘスがタイカ・ワイティティの模倣をしている状況なんだよな)。