★★★
アッシュが2009年10月から2週間おきに発表し続けているシングル・シリーズ(最終的には計26+1曲になる予定)の前半戦とカップリング曲等をまとめたコンピレーション盤。同様の企画は過去にもウェディング・プレゼントの『Hit Parade』シリーズだったり、日本でいえば倖田來未だったり嘉門達夫だったりと幾つかあるわけだが、今回の企画は音楽産業の変化によって死に体になったシングル市場で遊んでしまいましょう(死体と遊ぶな子供たち)、というものである点で過去の前例とは大きく違うのだった。だから商業的なインパクトは市場にこれっぽちも与えられていないし(そういう意図もないし)、全ての曲がいわゆる「シングル曲」的なクオリティーに達しているかというとそういうわけでもないんだが、それ故にこうやってアルバム単位でまとめくれるのは非常にありがたい。
日本盤は帯に「通産6枚目のオリジナル・アルバム!!」と書いてあるのはいただけないものの(だってアッシュはオリジナル・アルバムを作りたくないからこういう企画を立てたわけでしょ?)、それ以外の仕事っぷりは本当に素晴らしい。シングル・ナンバー全14曲のところにボーナス・トラックをこれでもかと加えて、ボーナス・ディスクを含めると全34曲まで拡大しているのに加えて、アルバム発売に併せてプロモ来日&日本公演&渋谷タワレコでのアコースティック・ライヴ&『笑っていいとも!』への出演を実現させているのだから。日本盤の発売元であるよしもとR&Cは、どう考えたってそんなに売れるわけないのに昨年はエミー・ザ・グレイト(本作のボーナス・ディスクにも参加)をプロモ来日させていたし、おそらくは洋楽担当の中にやる気のある方がいるのだろう。この洋楽不況の時代に喜ばしい限り。その攻めの姿勢は断固支持いたします。
そういえば、渋谷タワレコでのアコースティック・ライヴだと「Space Shot」はスタイロフォン2台を駆使して演奏してましたな。