★★★
以前にも書いたように、今年3月に発売されたシングル「Apple pie」が名曲すぎたAYUSE KOZUEの新作が到着、と思ったら件の曲が未収録ってどういうことだよ! で、代わりに外部のプロデューサーを召喚した楽曲で箔を付けてバラードを多めに収録、ってそのレコード会社のディレクションは完全に間違ってると思うぞ。この人って「Apple pie」でもそうなんだけど、セルフ・プロデュースでやらせた方が、Put it on the Floorさんも指摘している「ちょっとアホみたいな」ところが前面に出てくるのでポップ度がアップして楽しいんだよね。DJ FUMIYAなんかはそういう彼女のキャラクターを活かしたプロデュース・ワークなので構わないけど、坂本龍一を召喚したりしてるのは明らかに金の無駄遣いだよなあ。
そういう意味でも本作の白眉はやはりセルフ・プロデュース・ナンバーの「あのねのね」だ。だって「あのねのね」だよ! 笑福亭鶴瓶!清水國明!ブックオフ!って感じじゃないか。作詞作曲からアレンジまでこなせる才人だっていうのに、この天然っぷりはチャーミングすぎるだろ。だからこそ、そのメロディ・ラインの切なさが際立ってもくるわけで。つうわけで、次作ではぜひとも全曲セルフ・プロデュース&SAW(ストック・エイトケン・ウォーターマン)色濃いめでよろしく。あと、ジェイ・Zじゃないけど、オートチューン使いのケロケロ声はもうさすがに食傷気味なのでやめてほしい(まあ、これは別にAYUSE KOZUEに限った話じゃないけどな)。全12曲53分。