★★★★
傑作『TOP OF THE POPS』から約3年半振りに発表されたエレキベース待望のニュー・アルバム。前作の感想で「次回作ではぜひ全曲日本語詞でよろしく」と書いていたら、なんと本作はまさにその通りの内容になっていたので嬉しすぎる。
ただ、前作発表時のメンバーで現在でも残っているのはリーダーの坂本陽一とギターの亀田JPのみという大幅なメンバー交代を経た影響か(メンバーが1940年〜43年生まれだったビートルズが1970年で解散したことが象徴的なように、20代後半〜30代前半って自分の人生設計について大きく悩む時期だけあって、バンド活動が難しくなってくるのよね)、これまでに比べると演奏がやけにかっちりとしたものになっており、彼等の魅力であったスケールの大きないなたいグルーヴが減退しているのは残念。オープニング・ナンバーの「愛だろ」はフリッパーズ・ギターの「恋とマシンガン」そっくりだし、「メロディ」は「痛快ウキウキ通り」そっくりだしで、アルバム前半は90年代から脱却できていないクッキーシーン読者を狙い撃ちしたかのような作風に仕上がっているのもなあ。いや、まあそういう意味では確かに非常によく出来ているんだが、エレキベースにはそういう小さい世界でまとまってほしくないんだってば。
「メロディ」以降は「オーストラリア」に「ショービジネス」と、お得意のキンキーなナンバー(タイトルからしてモロだ)が登場して復調するものの、前述の2曲のせいでどうにも全体の印象が悪くなってしまった感がある。全9曲31分。前作以上に徳永憲の貢献度が上がっているので、彼の作品をきちんと聴き込んでみようとは思いましたわ。オブ・モントリオールの諸作でお馴染みのデヴィッド・バーンズが手掛けたジャケットが素敵。