『ザ・フー:ライヴ・アット・キルバーン』(監督:ジェフ・スタイン)観賞。★★★。
11月8日から12月19日まで渋谷のシアターNで限定公開されているコンサート・フィルム。フーの来日公演の予習も兼ねて観に行ってきた。
もともとは映画『キッズ・アー・オールライト』用に撮影されながらも演奏の出来が悪いということで今までお蔵入りになっていた77年12月のシークレット・ギグ(=キース・ムーンを含むオリジナル・メンバー4人による最後から1つ前のライヴ)の全編を収録(『キッズ・アー・オールライト』で使われているのは78年5月に再撮影されたもの)。ま、つまりは11月18日に輸入盤DVDが発売される『Kilburn 1977』の本編ってことなんだが。
当時のフーはライヴ活動を休止していたこともあって、メンバーそれぞれが曲の構成を間違えるし、「I'm Free」や「Who Are You」はグダグダなままで終わってしまうし(ピートは「撮影する必要なんてなかったな」なんて自虐的な台詞を吐く)、完璧な演奏とは言い難い。というか再撮影されたライヴの方も全盛期に比べれば演奏自体は大したことなくて、「無法の世界」は『キッズ・アー・オールライト』のクライマックスになっているけれど、あれにしたって『バニラ・スカイ』でも使われていたブレイク明けの(ピートがジャンプ・スライディングする)決めのショットと、演奏終了後に間髪入れずに流れ出すエンディング曲「Long Live Rock」に救われている部分がかなり大きいと思うし。
だが、ピート・タウンゼントが風車奏法でギターをかき鳴らし、ロジャー・ダルトリーがマイクをブン回せば、もうそれだけでフーなのであり、ギター・ロック・バンドの究極形なのだ。ジョン・エントウィッスルはいつも通りのバカテクだし、キース・ムーンの変顔ドラミングは(往年のようなキレがないとはいえ)自由すぎて最高。キースが無理やり「Tommy's Holiday Camp」を歌うところなんて笑った笑った。ファン向けっちゃあファン向けだけど、フーの曲が少しでも好きならば必ず楽しめるはず。
The Who - Won't Get Fooled Again
↑というわけで『キッズ・アー・オールライト』のクライマックスをどうぞ。