映画『レス・ポールの伝説』(監督:ジョン・ポールソン)観賞。★★★★★。
「ビートルズが全てを始めた」みたいな言説が嫌でしょうがない。そりゃあ確かにビートルズはオリジナリティ溢れるバンドだったけれど、彼等が「オリジネイター」だったことは一度もなかったと言っても過言ではなくて、常に自分達の影響元/当時の音楽シーンへの回答/返答を奏でていたことが、ちょっと周辺に目を向ければ分かるはずなのに。
じゃあ、真の「オリジネイター」はどんな人のことを指すのかといったら、そりゃあレス・ポールみたいな人に決まってるでしょうが! ズーイー・デシャネルも言っているように、レス・ポールは「エレクトリック・ギターの発明者で、マルチ・トラック・レコーディングの先駆者で」、元祖宅録人間で、要するに現代のポピュラー・ミュージック/レコード文化の基礎を築いた人物なのだから。しかも90歳を過ぎた今でも毎週ニューヨークでライヴをしている超人ギタリストでもあるという。
本作は彼の業績を本人及び周辺の人間のインタビューで振り返ったドキュメンタリーで、作りとしてはオーソドックスすぎるぐらいなんだが、どうして彼が偉大なのかを一通り説明しているというだけで十分に価値がある。ドキュメンタリーの王道だ。普段ならばこういうことは絶対に書かないんだけれども、本作に対してだけは言わせてほしい。全音楽ファン必見、と。東京では9月26日まで上映しているみたいなので、機会があるならば絶対に足を運ぶべき!
映画『レス・ポールの伝説』予告編
Les Paul & Mary Ford/How High the Moon
★★★★★
レス・ポール&メリー・フォードのベスト盤はいくつも出ているけれど、個人的にお勧めなのがこれ。3枚組なのに1500円でお釣りがくる! ちなみに、こちらでズーイー・デシャネルがレス・ポール&メリー・フォードの魅力について熱く語っているのでぜひぜひ参照にするよろし(10分過ぎから。身を乗り出して語っている、という感じ)。彼女がお気に入りとして挙げている「The World Is Waiting For The Sunrise」も本盤に収録されているよ。