★★★★
モルディ・ピーチズ時代の相方であるキミヤ・ドーソンが相変わらずのへたうまフォーク・ポップを作り続けているのとは対照的に、アダム・グリーンは正統派シンガー・ソングライターの道を着実に前進している。だから映画『JUNO/ジュノ』の特大ヒットの余波でTVに出演させられた再結成モルディ・ピーチズのライヴ映像を見てみると、アダム君の歌が上手くなりすぎていて&低音ヴォイスに磨きがかかりすぎていて、その楽曲の魅力は大幅に損なわれてしまっているのだった。ちなみに件の「Anyone Else But You」はGとCの2コードをひたすら繰り返すだけの死ぬほど単純な曲なので、ギター初心者の練習曲としてもお勧め。
そんなアダム君の最新作は、これまでになくバラエティに富んだ楽曲が揃った彼流グラムロック・アルバム。シングル・カットされた「Morning After Midnight」のPVからしてモロ。それでいてどこかミュージック・ホール的ないなたさを感じさせるのが彼の音楽のチャーム・ポイントだ。また、ダンディな本格派シンガーを気取っていてもどこか胡散臭いところなど、個人的にはブライアン・フェリーを想起したりもした。そういえばブライアン・フェリーも2コードの曲とかやたらと多いしな。だからアダム君も今後はライヴ中にスーツを着崩していったり、キムタクのドラマに酔っぱらい役で出演したりするといいんじゃないかしら。全20曲48分。
ついでに書いておくと、おいらが彼の曲で一番好きなのは『Friends of Mine』収録の「ジェシカ・シンプソンのうた」。
Adam Green- Morning After Midnight