The Bonzo Dog Doo-Dah Band/Pour L'amour Des Chiens
★★★★
2006年にデビュー40周年を記念して再結成ライヴを行った「裏ビートルズ」ことボンゾズだが、調子に乗って今度はなんと『仲良き事は美しき哉』以来となる35年振りのオリジナル・アルバムまで発表してしまった!
今回の再結成が一般に流布している「The Bonzo Dog Band」名義ではなく、デビュー・アルバム『Gorilla』発表時の「The Bonzo Dog Doo-Dah Band」名義であるということは、つまり彼等の原点であるダダ精神に立ち返っているということなのだろう(まあ、「The Bonzo Dog Band」時代の音楽についてはニール・イネスのソロ・アルバムでそれなりに突き詰められているといえるわけで)。
特筆すべきは、本作の録音に際して3人の新メンバーが加入しているということ。その面子は、先述のスティーヴン・フライを筆頭に、エイドリアン・エドモンドソン、そしてフィル・ジュピタス*1、ってコメディアンばっかりじゃねえか! ここからも、初期の彼等が音楽と同じかそれ以上にギャグを重視していたことが分かるというものだ。奥深きブリティッシュ・ユーモアの世界なり。
ヴィヴィアン・スタンシャルという絶対的なリーダーを欠き(1995年に自宅の火災によって死去している為)、ニール・イネスとロジャー・ラスキン・スピア(祝『Electric Shocks』再発!)が中心となって作り上げられた「とりとめのないノヴェルティ・ソング集」という趣き(なにしろ全28曲70分もあるのだ)は、『Tadpoles』に近いといえるかも。個人的には「美しい人々をブッ殺そうぜ!」と歌われる「Beautiful People」に感動したね。中途半端に気持ち悪いジャケットも素敵。
ビートルズ&モンティ・パイソン好きは放っておいても聴くだろうけど、たとえばコーラルとかズートンズのような最近の英国のひねくれロック・バンドを好きな人が聴いても気に入ると思うよ。
Bonzo Dog band - I'm The Urban Spaceman (promo)
*1:ビリー・ブラッグの学友。そういえばヘレン・ラヴも彼の番組に出演していたのだった。