映画『プロジェクトBB』(監督:ベニー・チャン)観賞。★★★★★。
世評の高かった『香港国際警察 New Police Story』はシリアスな物語のトーンと香港映画ならではの大雑把な脚本が上手く噛み合っていないように感じたので、私見では『シャンハイ・ナイト』以来となるジャッキー映画の金字塔。toshi20さんやS2D2さんも書かれているような「青年ジャッキー」の凄さは、もはや1950年代のフレッド・アステアの境地にまで達していると思う。とすると、クライマックスのスタント・シーンに特撮が使われていた『シャンハイ・ナイト』が『ザ・ベル・オブ・ニューヨーク』で、ガチンコ勝負の本作は『バンド・ワゴン』という感じか。
そうした映画史的な側面は無視したとしても、単純に120分間たっぷり笑えてたっぷり泣ける人情アクション・コメディの傑作。人を楽しませることに、娯楽映画を作ることに、ここまで(文字通り)命を懸けている人は、世界でジャッキー・チェンぐらいなものだ。それだけで1800円を払う価値があるってもんじゃないか。「赤ちゃんもの」コメディであるにも関わらず、パトリック・リード・ジョンソン&ジョン・ヒューズの『赤ちゃんのおでかけ』のように赤ちゃんの(無自覚な)ウザい行動によって騒動が引き起こされるのではなく、あくまでも大人達による赤ちゃんの奪い合いのみで物語が進行するという点にはジャッキー・チェンという映画作家の聡明さを感じた。必見。
あと、どうでもいいけど敵のボスの手下の一人が今岡信治に瓜二つなので、これから観る人は要注目のこと。