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ジェイソン・シュワルツマンのソロ・プロジェクトであるココナット・レコーズのデビュー・アルバムがiTMSで先行発売されたのでさっそく購入してみた。ファントム・プラネット在籍時代の彼は、ドラマーであるにも関わらずライヴではピアノを弾くこともあったので、マルチ・プレイヤーとしての才能にはそれほど驚かなかったのだが、まるでベン・クウェラーのような繊細な歌声を持っているのには心底驚いた。体毛濃くて性豪みたいな顔なのに!
アルバムを通して聴いてみて気付いたのは、収録された楽曲のほとんどが別れの歌であるということ。これはズーイー・デシャネルとの別れが大きな影を落としていると考えて間違いないだろう。切ないったりゃありゃしないぜ。そして、そんなアルバムにガッツリ参加しちゃうズーイー・デシャネルは肝が据わっているというかなんというか。彼等の関係は「恋人」とかそういうのを超えていて、「同志」とかそういう感じなんでしょうな。Xにおけるジョン・ドーとエクシーヌ・サーヴェンカみたいな関係というか。
アルバム全体のガチャガチャとしたポップ・サウンドはモンキーズの最高傑作である『Headquarters』に近似。「Back To You」のように初期ウィーザーを彷彿とさせるパワー・ポップ・ソングもあるので、ファントム・プラネットの3rdアルバムに落胆した人でもこれならば気に入るはずだ。詳しいクレジットがないのでもしかしたら間違っているのかもしれないが、噂ではキルスティン・ダンストも参加しているらしいぞ(「Summer Day」のバックコーラスがおそらく彼女の声)。真相は夏に発売予定のCDヴァージョンで明らかに! 全12曲33曲。