Fountains Of Wayne/Traffic And Weather
★★★★
アダム・シュレシンジャーの外仕事の素晴らしさに反比例して、アルバムのクオリティ低下に歯止めが効かなくなっていったファウンテインズ・オブ・ウェインだが(前作『Welcome Interstate Managers』は本当に酷かった)、本作においてようやく復調を果たしたといえるのではないだろうか。私見では、96年に発表された傑作1stアルバム『Fountains Of Wayne』に次ぐ佳作。
今作で特筆すべきはその歌詞の素晴らしさだ。いや、別に歌詞の内容がどうとかいうことじゃなくて、韻の踏み方がどの曲も非常に綺麗なのだな。特に「'92 Subaru」のサビの「I'm coming for you / You better make way cause I'm coming through / In my late '92 / baby blue / Subaru」というラインには感動した。
ただし、こうした甘さ一辺倒の路線だと、たとえばクイアーズの『Munki Brain』のような簡潔極まりない作品に敵わないのも確か。ギター・ポップ/パワー・ポップ畑の人間はそこらへんの認識があまりにも甘すぎるのだ。元スマッシング・パンプキンズのジェームズ・イハ&メリッサのゲスト参加といった90年代的なトピックもそうした連中だけが喜びそうでちょっと嫌な感じ。おいらからしてみると、スマパンはジェネレーションXの「Kiss Me Deadly」をパクったバンドという程度の認識でしかないしなあ。全14曲47分。