Alex Lowe/Step Forward All False Prophets
★★★★
一般的には元ハリケーン#1のリード・シンガーとして知られているアレックス・ロウだが、当サイト的にはあくまでも「『Dreamcatcher』『Boys United Never Die Young』というシンガー・ソングライター・アルバムの大傑作を続けて発表したミュージシャン」なのである。前作『Boys United Never Die Young』以降はネット限定シングルを発表したりスペインのレーベルと契約したりと、細々と活動を続けていたようだが、ようやく今年に入って新作アルバムを発表するに至ったということでめでたいですな。
今作は本人曰くボブ・ディランやウィルコにインスパイアされたという素朴なカントリー・アルバム。アコースティック・ギターの弾き語りを中心としたシンプルなサウンドは、元モンキーズであるマイク・ネスミスの名作『And The Hits Just Keep On Comin'』を彷彿とさせる、といったら褒めすぎだろうか。それ故にリズム面でやや物足りないところもあるのだが(『Dreamcatcher』の時のように、自分自身で全曲のドラムを叩いても良かったのに)、代わりにアレックスのロッド・スチュワートなボーカルをじっくりと堪能できるのだからとりあえずは問題なし。3コードの旨味を知り尽くしたソングライティングも相変わらず切れ味抜群。
こんなにも素晴らしいミュージシャンがレコード会社と契約できずに、自主レーベルから作品を発表し続けてるだなんて、絶対に世の中が間違っていると思うぞ。当サイトはアレックス・ロウを応援し続けます。全11曲38分。