Tim Rogers & Tex Perkins/My Better Half
★★★
ユー・アム・アイの『Convicts』は完璧なロックンロール・アルバムだと思うけれど、唯一不満があるとすれば、ティム・ロジャースのシンガー・ソングライター的な側面がほとんどクローズアップされていないという点に尽きる。そして、そこの部分をきちんと補完してくれるのがこのアルバムなのである。
本作に最も近いのは、『Dress Me Slowly』の初回版特典として付けられていたティム・ロジャースのアコースティック・デモ『The Temperance Union』だろう。つまりはティム・ロジャースの弾き語リストとしての実力を存分に堪能できるということ。
ユー・アム・アイとは映画『Dirty Deeds』のサントラで共演もしていた相方のテックス・パーキンスは、「オーストラリアのギビー・ヘインズ(@バットホール・サーファーズ)」とでもいうべき怪人なのだが、ここではティム・ロジャースに合わせたかのように正統派シンガー・ソングライターとしての側面を披露し、只者ではないところを見せ付けてくれている。ティム・ロジャースとは長年の友人だけあって息もピッタリ。
ストリングスの代用品としてメロトロンを多用し、サウンドに温かみを加味しているのも効果的。ピート・タウンゼントとロニー・レインの共演アルバム『Rough Mix』にも通じる滋味がある、といったら褒めすぎだろうか。キッス「Come On And Love Me」のアコースティック・カバーを含む全13曲46分。