SPA!誌上で中原昌也も「ヒップホップ映画という印象だけで(この映画を)パスするような奴は死んでしまえばいい」(立ち読みだったので正確な記述とは少し違うかも)とまで書いて絶賛していた『ハッスル&フロウ』の日本公開がようやく始まったので、おいらが3月21日に書いた感想を再掲しておく。
おいらも初日に劇場に駆けつけたんだけど、やっぱりテアトルタイムズスクエアの大スクリーン&大音量で観賞すると迫力が違うやね。一人でも多くの人に観ていただきたいと心の底から思います。
あと、本作を気に入った人には、スリー・シックス・マフィアの最新作『Most Known Unknown』もぜひチェックしていただきたいと思う。『ハッスル&フロウ』の主題歌としてアカデミー賞を受賞した「It's Hard Out Here For A Pimp」を制作したのは彼等であり、つまりは同作の中で作り上げられていった「あのサウンド」が全編に渡って展開されている傑作だから。おいらも昨年の音楽ベスト20の第4位に入れてるよ。とりあえず大名曲「Stay Fly」だけでいいから聴いてもらいたいなあ。
ちなみに、『ハッスル&フロウ』の劇中で「It's Hard Out Here For A Pimp」を制作中に登場する隣人R.L.を演じているのがスリー・シックス・マフィアのD.J.ポールなので要チェックのこと。顔が面白すぎ。
映画『ハッスル&フロウ』
(監督・脚本:クレイグ・ブリュワー)
★★★★★
今年のアカデミー賞で主演男優賞にノミネートされ、オリジナル歌曲賞を受賞したヒップホップ映画。
本作はスタジオでトラックを組み立てていく面白さを表現するのに成功した初の劇映画という意味で画期的だ。アル・カポーン、スリー6マフィア、リル・ジョン等が制作したトラックの出来の良さも、映画に説得力を与えるのに一役買っている。御大アイザック・ヘイズの出演に合わせたかのように70'sソウル風に仕上げられた、ワウギターが唸りまくるスコアも最高。
また、主演のテレンス・ハワードと悪役のリュダクリスはアカデミー賞作品賞を受賞した『クラッシュ』に続いての共演であるし、『8 Mile』に続いてタリン・マニングを再びヒップホップ映画へ起用してみせるなど、いちいちツボを突いたキャスティングも素晴らしい。コメディ/学園映画好きのおいら的にはDJクオールズとアンソニー・アンダーソンの起用が嬉しかったな。特にDJクオールズの「ヒップホップ好きの白人トラックメイカー」という役どころは、明らかに『ニュー・ガイ』を踏まえた上でのキャスティングだから尚更。
00年代の音楽映画として『プッシーキャッツ』、『みんなのうた』、『スクール・オブ・ロック』などと並び賞されるべき傑作。必見。