★★★
若干23歳にしてキャッシュ・マネー・レコーズの新社長に就任したリル・ウェインの5thアルバム。
レーベルのハウス・プロデューサーであったマニー・フレッシュが昨年半ばに離脱してしまった為に本作の出来も心配されていたのだが、ここ数年で若手トラック・メイカーの育成に力を入れていたのも功を奏して、新生キャッシュ・マネー・レコーズの第一歩としては及第点の佳作に仕上がったと言えるだろう。前作『The Carter』(傑作)における「Go D.J.」のように飛び抜けた名曲がない代わりに、アイアン・メイデンの「Fear Of The Dark」ネタの「Best Rapper Alive」とか、アイズレー・ブラザーズの「The Lay Away」ネタの「Receipt」といった佳曲群で乗り切った感じだ。
まあ、個々の楽曲としてはそこそこ良く出来てはいるんだが、纏め役であったマニー・フレッシュの不在はやはり大きくて、アルバム全体のトーンが統一されておらずにグダグダになっているのは致し方ないところか。
全米アルバム・チャートでは初登場2位と、自己最高のチャート・アクションを記録したようでとりあえずは良かったですな。リル・ウェインのラップのスキルも地味に向上していっているところを見ると、今後もしばらくキャッシュ・マネー・レコーズは存続していけるかもしれないな。全22曲77分。