★★★
シェリル・クロウのアルバムの両極は、最もキャッチーな曲が揃った1st『Tuesday Night Music Club』と、最も地味な(味わい深い)曲が揃った3rd『The Globe Sessions』だと考えている。前作『C'mon C'mon』が『Tusday Night Music Club』路線だったとするならば、この最新作は『The Globe Sessions』路線と言えるだろう。
「Live It Up」を除くとアップテンポな楽曲は皆無で、ミドル〜スローが中心の構成。これがビルボード・チャート初登場2位というのは大健闘だよなあ。もうすっかり大御所としての地位を確立した感がありますな。初聴きのインパクトは弱いだろうが、細やかなアレンジ(特にデヴィッド・キャンベルの手によるストリングス・アレンジが素晴らしい)のおかげで、長い間聴き続けられる佳作に仕上がっていると思う。全11曲46分。
ちなみに、(本人曰く「アーティスティックな」)今作と同時に、キャッチーな曲が揃った「ポップ・アルバム」を完成させているらしく、それは来年の発表を予定しているそうだ。実は彼女の最高傑作は『Tusday Night Music Club』から『The Globe Sessions』へと移行する中間地点であった2ndアルバム『Sheryl Crow』なわけで、次作こそが第2の『Sheryl Crow』になっているんじゃないかと今から期待。