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前作から約2年半振りとなるアイドルワイルドの4thアルバム。
リアルタイムで『100 Broken Windows』の傑作っぷりを体験している人間からすると、世評の高かった前作『The Remort Part』はまるでR.E.M.の『玉手箱』の様に退屈だったのだが、今回は傑作。R.E.M.に例えるならば、『Lifes Rich Pageant』と『Document』を足して2で割った感じ。そのココロは以前よりも一回りも二回りもスケールが大きくなって戻ってきたって事だ。
前作から今作までの間にメンバー・チェンジがあったりしたので、最近のR.E.M.みたいになってしまうんじゃないかと心配していたんだが、それは杞憂だったようだ。前作ではポップ・ソングとしての形式に拘るあまり、逆に本質的なポップさが抜け落ちてしまったような印象を受けたのに対し、今作の楽曲はかなりフレキシブルな姿勢で製作されているように思う。「Too Long Awake」の別バージョンがシークレット・トラックとしてリプライズされるのはその証左と考えたい。フォーク/カントリー寄りな要素が増しつつも、ルーツ・ミュージック特有の泥臭さがないのもおいら好み。
しかしこれほどまでに(いい意味で)初期R.E.M.っぽいバンドもいないと思うんだが、日本だとアイドルワイルドもR.E.M.も、その魅力が十分に伝わっていないようで無念。それが伝わるまで、おいらはこうやってサイト上で声を上げていきたいと思う。つうわけで初期R.E.M.の持つ「曖昧さ」に惹かれる人間は必聴の事。全12曲42分。