いつも楽しく読ませていただいているORANGE BLOGにて、joeさんがウィータスの『Suck Fony』の絶賛レビューを書かれている、のは嬉しいんだが、誤解している点が幾つかあったので指摘しておく。ウチのサイトなんかよりも遥かに影響力が大きいと思うだけにね。
まず、『Suck Fony』の元となった『Hand Over Your Loved Ones』について、「ウィータス側のアルバムの完成を待たずにSONY側に発売され、曲順も安易な物に決められた」と書いているのは明らかに間違い。あのアルバムのレコーディングは2002年の8月の時点ですでに終了しており(証拠)、その後しばらくバケーションに入って、2003年2月にはブレンダン・ブラウンがイギリスまで出向いてミキシングに立ち会っているのである(証拠)。そして『Hand Over Your Loved Ones』は2003年9月にリリースされているのだから、別に発売を急かされたわけではないのだ。
ウィータスとソニーが揉めたのは、あくまでもセルフ・プロデュースに拘ったウィータスに対してのソニーからの報復として、『Hand Over Your Loved Ones』をほとんど全くプロモーションせずに発売したからなのである(証拠)。だからウィータス側としては「Hand Over Your Loved Ones」の内容については満足しているはずなのだ。じゃなきゃブレンダン・ブラウンがソニーとの契約を切られた後に「『Hand Over Your Loved Ones』は傑作だ」なんて言うわけがないよな(証拠)。それは「Hand Over Your Loved Ones」のブックレット内に記された、ピート・ブラウンから(無理解な奴等とずっと闘い続けている)ブレンダン・ブラウンへの感謝の言葉からも明らかだろう。納得していない作品のブックレットにあんな事を書くわけがないじゃないか。
そして「アーティストとして彼らが伝えたかった作品は間違いなく今作であろう。」というのもやはり違うと思う。だって「Suck Fony」のブックレットでブレンダン・ブラウンは「The original title, meaning and theme are gone forever, aborted. But the songs remain. Now it just feel like a record about the finger. So we renamed it Suck Fony and gave it some teeth.」と書いているのだから。つまり(自信作だった)『Hand Over Your Loved Ones』はなかった事にされちゃったけど、それでも俺達は君に曲を届けたいから、別の形で出し直すよ、と。
ちなみに『Hand Over Your Loved Ones』でも『Suck Fony』でも、最終曲「Dynomite Satchel Of Pain」の後に「The Song That I Wrote When You Dissed Me」のデモ・バージョンが2種類収録されているのだが、これはリプライズではなく単なるボーナス・トラック(証拠)。だから「そして最後は「DYNOMITE SATCHEL OF PAIN」でないといけないし、その前は「THE SONG THAT I WROTE WHEN YOU DISSED ME」でないと駄目なのだ。そうでないと最後のリプライズが上手く機能しないし、必然性を無くしてしまうだろう。」というのもちょっと違う。彼等が「The Song That I Wrote When You Dissed Me」のデモ・バージョンを気に入っているのは間違いないとは思うけど(最後の「Motherfucker!!」という絶叫は爆笑もの)。