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R.E.M.が行き詰まっている間に、デルガドスはこんなにもR.E.M.の本質を忠実に受け継いだ傑作を完成させてしまった。
前作『Hate』はデイヴ・フリッドマンによる圧倒的なオーケストレーションが印象的な傑作だったが、本作では彼のもとを離れ、再びトニー・ドゥーガンとの共同作業に戻っている。サウンドは2ndアルバム『Peloton』の頃のようなオーソドックスなギター・ロックに。しかし、あの頃と比べると何もかもが確実に進歩していて、特にソングライティングの切れ味の鋭さと言ったら!
日本盤の帯には「シンプルかつウェルメイドなポップ・ソングの清々しい魅力に満ち溢れた傑作」と書いてあるけど、まさにそんな感じ。まあ、相変わらず歌唱力は進歩していないんだが、楽曲とバッキング・トラックがこれだけの完成度を誇っているのであれば、それもまたチャーミングに聴こえるというもの。
前作では「憎しみこそはすべて」と歌っていた彼等だが、本作でもオープニング曲のタイトルからして「I Foungt The Angels」と、相変わらず世界と戦う意思に満ち溢れているのが嬉しいじゃないか。ティーンエイジ・ファンクラブですら微妙に失速してしてしまった現在、いつの間にかデルガドスはグラスゴー・シーン最大の良心と言えるバンドに成長していたのであるなあ。デビュー時から追っているおいらは感慨深いよ。来日公演も絶対行く。全11曲41分。