映画『パレードへようこそ』(監督:マシュー・ウォーチャス)観賞。★★★★★。
ケン・ローチもかつて『Which Side Are You On? 』で取り上げた、1984〜85年にかけて炭鉱ストを題材とした英国映画。ウェールズの炭鉱労働者達とのLGSM(レズビアンとゲイの人々による炭鉱支援の会)の交流を描く。ピート・シーガーの「Solidarity Forever」で始まり、現代のピート・シーガー的存在であるビリー・ブラッグの「There Is Power In A Union」で終わるという作り手の「気骨」を感じさせる構成、そしてサウンドトラックにカースティ・マッコールの「A New England」(ビリー・ブラッグ作)を収録することによって、ビリーとカースティの共演曲である「Sexuality」(歌詞)が本作の大きなテーマであることを改めて浮かび上がらせている一本筋の通った作りがとにかく素晴らしい。「セクシュアリティ/力強くて温かくて自然で自由なもの/僕たちは自分の望む姿でいられるはず」。そして炭鉱労働者支援のためのチャリティ・コンサートでは(ダイ・アントワードのネタ元としてもお馴染みの)ブロンスキ・ビートが「Why?」を演奏する!最高!
あと、『パレードへようこそ』って邦題も良いけど、やっぱり『Pride』って原題が素晴らしい。英国炭鉱ストが労働者側の完全なる敗北に終わるのはご存知の通り。つまり、英国の炭鉱労働者達はサッチャリズムの最大の犠牲者なわけで、それを踏まえると『Pride』というタイトルがさらに強く心に響いてくる。『パレードへようこそ』は生きていく上で本当に大切なことを描いている映画だと思います。