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映画『ウォーク・ハード ロックへの階段』(監督:ジェイク・カスダン)観賞。★★★★★。
『ウォーク・ザ・ライン』を下敷きに、50年代以降のアメリカのポピュラー・ミュージック史を総ざらいした嘘音楽伝記映画の傑作。作りとしては『みんなのうた』や『スパイナル・タップ』等のクリストファー・ゲストの諸作に近くて(クリストファー・ゲスト組のジェーン・リンチも出演して好サポート)、ディテールが凝りまくり。たとえば主人公がボブ・ディラン風の歌を歌い始めるようになると、途端に演出が『ドント・ルック・バック』調になったりすんの。サウンドトラックも素晴らしくて、タイトル・ナンバーの「Walk Hard」をマーシャル・クレンショウに、中期ビーチ・ボーイズ的な狂気に満ちた「Black Sheep」をヴァン・ダイク・パークスに書き下ろさせているというだけで製作者達の本気度が分かるというものだ。
フラットパック/ジャド・アパトー組を中心に、現在のハリウッドのコメディ映画界を代表する豪華キャストが集結している点にも注目。 主人公のデューイ・コックスを演じるのはジョン・C・ライリー、彼の妻役には『俺たちフィギュアスケーター』でお馴染みのジェナ・フィッシャー(ジェームズ・ガンの妻で、トロマ初の女子映画『LolliLove』を撮り上げた才女。相変わらず「コミカルなエロ」の表現が巧い)、バディ・ホリー役にフランキー・ムニッズ、そして避けては通れないビートルズにはポール・マッカートニー役にジャック・ブラック、ジョン・レノン役にポール・ラッド、ジョージ・ハリスン役にジャスティン・ロング、リンゴ・スター役にジェイソン・シュワルツマンが扮している(<どんなビートルズだ)。個人的にはデューイのマネージャー役としてデヴィッド・クラムホルツが出演しているのが嬉しかったな。
その他にもエルヴィス・プレスリー役で登場するジャック・ホワイトを筆頭に、ミュージシャン勢のカメオ出演もとんでもないことになっているので必見だ。あんなところにゴーストフェイス・キラーが!
『ウォーク・ハード』予告編
Dewey Cox is Bob Dylan in "Walk Hard"