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つうわけで3月16日に行われたR.E.M.の武道館公演に行ってきましたよ。最新作『Around The Sun』の出来がイマイチだったので、あまり期待せずに臨んだのだが、ライブの方はとても良かった。「7 Chinese Bros.」が演奏されたのは嬉しい驚き。「Orange Crush」の拡声器パフォーマンスでは燃えまくったぜ。
ライブを聴いていて何となく分かってきたんだが、最新作で彼等はR.E.M.流ヒップホップをやろうとしていたのだな。彼等にしてはやたらと循環コード進行の曲が多かったり、アンコールで披露された未発表の新曲のタイトルが「I'm Gonna DJ」である事からも、おいらの読みはそれほど間違っていないんじゃないかと思う。ただ、そうなるとビーチ・ボーイズ(というよりはブライアン・ウィルソン)に影響を受けた音作りは明らかに間違っていると思うけど。
相変わらず「Everybody Hurts」は好きになれなかった。「若者の自殺を食い止めるために書いた曲」だっつうけどさあ、「君だけじゃなくて、みんな傷ついてるんだ」って、他人がどうとか考える余裕がないから自殺するんだっての。
そもそも、すべての人がひとりぼっちで生まれて、ひとりぼっちで死んでいくのだ。そして決して誰とも理解し合える事はない。たとえ言葉や文化が同じであろうとも。もし世界中の人々が繋がれて、一つになれるのだとしたら、その「前提」を踏まえた上での話でしょ。ビートルズが「愛こそはすべて」の次のシングルとして「Hello Goodbye」を出して、ひたすらに「君と僕とのすれ違い」を歌ったのは、つまりはそういう事だとおいらは考えている。そんな当たり前の話が分からない奴が多いから、つまらない争いや差別が生まれるのだ。
で、実はR.E.M.って初期はそういう(世間ではなかなか明言される事のない)「前提」についてひたすら歌い続けてきたバンドだったのだ。そんなバンドが、そういう「前提」などない振りをして、「Everybody Hurts」なんて曲を歌うのはただの堕落でしかないと思う。
あと、ライブの最後が「世界の終わる日」じゃなくて「Man On The Moon」ってのはどういうことよ。よっぽどブッシュの再選がショックだったんだろうなあ。でも、そういう絶望的な状況を笑い飛ばせ!っていう曲が「世界の終わる日」なんじゃないの?
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そんなおいらがお勧めするR.E.M.の入門盤は、1stアルバム『Murmur』と2nd『Reckoning』と4th『Lifes Rich Pageant』の3枚かな。というか、これだけ聴いて興味が持てなければ、他は無理に聴かなくてもいいと思う。