16歳の少女の薬物にまみれた青春を描いた映画『La Déesse Des Mouches À Feu(英題:Goddess Of The Fireflies)』は、90年代のケベックを舞台にしたカナダ版『クリスチーネ・F/麻薬と売春の日々』。ご丁寧にも映画の冒頭で『クリスチーネ・F』の原作である『かなしみのクリスチアーネ』が主人公にプレゼントされ、『クリスチーネ・F』でデヴィッド・ボウイの「Heroes」が大フィーチャーされていたのに倣って、こちらではボウイの「Rock'N'Roll Suicide」が大フィーチャーされるという凝りっぷりだ。
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ジェシカ・バーデンも出演しているマックス・ウィンクラーの新作『Jungleland』は、このタイトルから当然のようにブルース・スプリングスティーンの同名曲を想起するわけだが、本編ではスプリングスティーンによるスーサイドのカヴァー「Dream Baby Dream」が大フィーチャーされておりました。こっちの曲の方も『アメリカン・ハニー』なんかで使われたことによって、エヴァーグリーンなアメリカのフォーク・ソングとして完全に定着した感がありますな。
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これ、次はジョン・レノン編が来るはずなんで楽しみです。というか、ポールの才能が60年代半ばから爆発したのは当時の音楽シーンを含むカウンター・カルチャーからの影響という導線がはっきりと見えるんだけど、ビートルズ初期のジョン・レノンの才能の爆発はそういった導線が見えなくてマジで謎なんですよね(50年代のロックンロールやR&B、ブリル・ビルディングのソングライター達からの影響があったにしても、そこからの飛躍が物凄いので)。で、それがなければ以降のポールやジョージの才能の開花、ひいてはブリティッシュ・インヴェイジョンすらもなかったはずなので、そういった諸々を含めて『A Hard Day’s Night』こそがジョン・レノンの最高傑作だと思っております。
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緊急事態宣言が6月20日まで延長されましたが、「サム・フリークス Vol.13」は当初の予定通り6月6日に開催いたします。なお、座席を間引いての開催となり、ご入場は前売り券をご購入された方のみとします(当日券は販売いたしません)。以上、よろしくお願い申し上げます。
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マネーバッグ・ヨーの新作『A Gangsta's Pain』収録の「Wockesha」でデバージの「Stay With Me」をサンプリングしているけど、これ明らかに(同曲をサンプリングしている)アシャンティの「Foolish」ありきの使い方だし、00年代再評価の流れといっていいんではないかと思う。
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そういえば『1971:その年、音楽が全てを変えた』にレッド・ツェッペリンは出てこなかったな。『Led Zeppelin IV』が発売された年なのに。社会性/政治性が薄くてシングル・ヒットがないバンドだったからかな。
まあでも1971年前後の音楽シーンが60年代後半の試行錯誤が結実した一つのピークなのは間違いないすよね。1973年になるとオイルショックが起きてアナログ盤は薄くなり、その影響もあってか全体的にサウンドはデッドな(=エコー成分のない)方向性に向かい、コスト高騰により商業主義が加速する結果となる、というのが私の見解です。