映画『マイ・インターン』(監督:ナンシー・マイヤーズ)観賞。★★★★★。
さすがはナンシー・マイヤーズ!と言いたくなる、ハリウッド映画の洗練の極みというべき超ウェルメイドな一品。ナンシー・マイヤーズのフィルモグラフィー的には『ファミリー・ゲーム』以来の飛び抜けた傑作なのではないだろうか(アレック・ボールドウィンが可愛すぎる『恋するベーカリー』も捨て難いけど)。とはいえ、それまでの展開に比べると、クライマックスが明らかに弱いというのは誰もが思うところだろう。というのは、ロバート・デ・ニーロとアン・ハサウェイの友情が物語の最大の推進力になっていたのに、クライマックスではデ・ニーロ不在で物語が進行していってしまうから。でも、アン・ハサウェイの「人生のパートナー」はデ・ニーロではなくて旦那なのだからこれはしょうがない。おいらとしては、「人生のパートナー」でなくても、我々は少しづつ誰かの人生に影響を及ぼしているのだ、ということがここでは描かれていると考えて好意的に受け止めた。そして、「ゆっくり呼吸をすればいい」という穏やかなラスト・シーン。劇的な「エンディング」なんて必要ない。だって人生はまだまだ続いていくのだから。そんなナンシー・マイヤーズの想いが伝わってくるようで感動した(個人的にはメアリー・ルー・ロードの「Lights Are Changing」を想起したりもした)。
いまだに世間にはびこる「働く女性」に対する厳しい風当たりの描写はナンシー・マイヤーズの実体験に裏打ちされたものだと思われるが、彼女は公私におけるパートナーだったチャールズ・シャイアーと離婚しているわけで、現実はこの映画のように上手くはいかないことは重々承知のはず。でも、だからこそ彼女は映画の中で「幸せな夢」を描き続けるのだ。