『Short Term 12』は自分の無力さをこれでもかと突き付けられる映画だ。でも、自分が苦しみを抱えているのであれば、同じような苦しみを抱えている人達に対して手を差し伸べることはできる。自分が負の連鎖の歯車にならなければ、自分と同じような苦しみを味わう人を減らすことはできる。少なくとも自分はそういう風に生きていきたいと思うし、『Short Term 12』はそういう生き方を選んだ人達の物語なのであります。
『Short Term 12』は2008年に作られた同名の短編映画を長編化したもので、基本的なエピソードは全て2008年版の方でも描かれているんだけど、続投キャストはマーカス役のキース・スタンフィールド(と風船人形)だけなんすよね。2008年版に比べると2013年版の子供達の年齢が若干上がっているのは、キース・スタンフィールドの成長に他のキャストを合わせた結果なのかもしれない。『Short Term 12』におけるキース・スタンフィールドはそれだけ重要な役者/キャラクターであるということだ。
2008年版と2013年版の最大の違いは主人公が男から女になっているということで、それによって明らかに話に広がりが生まれているので(たとえばジェイデンが自分の部屋にこもろうとするシーンでの職員の役割分担など)、これはとても良い改変だったと思う。
あと『Short Term 12』が素晴らしいのは、どんなに辛い状況であっても登場人物が軽口を叩きまくるところ。まさにこれこそがアメリカ映画の真骨頂だと思うし、自分もこんな風に生きていけたらなあ、と強く思います。