R.E.M./Part Lies Part Heart Part Truth Part Garbage
★★★★
R.E.M.のベスト盤は過去に何枚も出ているので新鮮味は薄いものの、全キャリアを網羅したそれは初めてなので入門盤として最適だし、「R.E.M.はビル・ベリー、ピーター・バック、マイク・ミルズ、マイケル・スタイプの4人から成るギター・ロック・バンドであった」という点が非常に強調された作りになっていて、本人達の考えていたR.E.M.像(自己評価)がはっきりと見えてくるので、おいらのようなファンにとってもなかなかに興味深い内容。
まずは↑の紙ジャケやブックレットを見ても明らかなように、1997年に脱退したビル・ベリーが他の3人とまったく同等に扱われており、「R.E.M.は4人組だった」という点が強調されている。収録曲の方も基本的にはグレイテスト・ヒッツな内容でありながら、『玉手箱』からは「Can't Get There From Here」がオミットされて代わりに「R.E.M.人生講座」が、『Out Of Time』からは「Radio Song」がオミットされて代わりにライヴ定番曲の「Country Feedback」が、『New Adventures In Hi-Fi』からは「E-Bow The Letter」がオミットされて代わりに「New Test Leper」が選ばれており、「4人組ギター・ロック・バンドとしてのR.E.M.」という点が意図的に強調されていることが分かる。「4人組ギター・ロック・バンドとしてのR.E.M.」が崩壊し、サウンドもギター・ロックから離れていったアルバム『Up』〜『Around The Sun』からは各1曲ずつしか選曲されていないので、やはりこの辺りの時期については彼等自身も高く評価していないのだろう。
ギター・ロックへの回帰を果たした最後の2作『Accelerate』『Collapse Into Now』からは再び複数曲が選ばれており、彼等にとって久々の会心作であったことが改めて実感できる。そして最後の新曲3曲についてだが、「A Month Of Saturdays」は荒削りな未完成デモ音源といった感じの趣きで、『Collapse Into Now』に続くアルバム制作が本当に初期も初期の段階で頓挫して解散を決意したことが窺い知れる。ラスト・シングルになった「We All Go Back To Where We Belong」と「Hallelujah」にしてもオーケストラ・アレンジを担当したオーウェン・パレットに丸投げして完成形まで持っていた可能性が濃厚で、いずれにせよビル・ベリー脱退後の作品のクオリティ低下も踏まえた上で、「有終の美を飾れるうちに幕を引いてしまおう」という考えに至ったであろうことは容易に想像がつくのだった。全40曲151分。