★★★★
復活アルバム『Hey Ma』からちょうど2年で発表されたジェイムズの新作ミニアルバム。この作品と対になる続編『The Morning After』は8月に発表予定とのこと。
っていうかなんか最近ミニアルバム/EPが増えてきてないか? ウィータスの新作もEP2部作だし、ロビンの新作もEP3部作だっていうし。これはあくまでもおいらの私見なんだが、レコード会社からのサポート≒バジェット≒介入をできるだけ受けずに、アーティストの世界観をきっちり反映させた作品を作るにはミニアルバムというサイズがちょうど良いのかもしれないな。また、音楽配信が普及して曲単位でのバラ売り/バラ聴きが当たり前となったこともあって、ミニアルバム/EPならば1曲単位のシングル的な聴き方もフルアルバム的な聴き方も許容できる、といったことなのかもしれない。いずれにしてもミニアルバム/EPは今後さらに増えていきそうな予感。
『The Night Before』に話を戻すと、サウンドは『Hey Ma』の路線を引き継ぎつつも打ち込み色がやや強めになっているのが特筆すべき点。バンドの素の姿を出すことにこだわった『Hey Ma』での成果を経て、活動停止前の傑作『Whiplash』以降の路線に再び戻ったともいえるだろう。ジェイムズは基本的に循環進行で曲を作っていくこともあって、打ち込み/ループ・サウンドとは相性が良いのである。本作のオープニング曲である「It's Hot」からして延々とG→C→G→Cを繰り返す2コード・ナンバーだし。それにしてもラリー・ゴットのスライド・ギターが相変わらず味わい深い(ちなみに彼は1995年から2007年まで家具職人になるためにジェイムズを脱退していた。靴職人になるために役者を引退していたのはダニエル・デイ=ルイス。『NINE』は本当に酷いミュージカル映画だったなあ)。全7曲29分。