★★★★
『三銃士』はこれまでに何度も映画化されているが、ジーン・ケリーが主演した1948年版が500円DVDで発売されていたのでさっそく観賞してみた。
ドラマとしてはあくまでも原作のダイジェストなのであまり期待しない方がいいだろう。だが、それを補って余りあるのが、ジーン・ケリーのダンサーとしての特性を活かした、吹き替えなしで披露される超絶アクション&スタントである。本作における彼はまさにかつてのバスター・キートンであり、後のジャン=ポール・ベルモンドでありジャッキー・チェンだ。小学生レベルのエロが隠し味になっているところまで含めて考えると、これは正しくジャッキー・チェン映画のルーツの一つであるといえる。
実際に『プロジェクトA』や『サンダーアーム/龍兄虎弟』の元ネタになったと思わしき場面もある。いや、『シャンハイ・ナイト』(傑作)で『雨に唄えば』を引用してみせたジャッキーのことだ。本作に影響を受けていないはずがないじゃないか。ジャッキーが真に偉大なのは、バスター・キートンやチャップリンだけではなくて、ジーン・ケリーやフレッド・アステアのミュージカル映画や、ジャン=ポール・ベルモンドのアクション・コメディもきちんと参照にしているからなんだな(『プロジェクトA2』の竹馬アクションは『カトマンズの男』の再現だ)。本作を観れば、ジャッキー・チェンが現在に至るまで「正しい映画」を作り続けていることがよーく分かるはず。アクション映画とはすなわちダンス映画であり、ダンス映画とはすなわちアクション映画なのだ! 必見。