★★★
大傑作『Let Us Play!』から9年振りとなるコールドカットの新作。なんと今回は全曲歌ものである。ただし、先行シングルにもなっている「Everything Is Under Control」でジョン・スペンサーをゲストに招くという90年代的な人選からすでに嫌な予感がしていた通り、あまりにも現役感のない作りになっているのは残念。
今作での彼等はソングライティングに比重を置いたらしいが、ならば例えばモロコが『Things To Make And Do』を作った時のような強い覚悟が必要だったのではないだろうか。以前にリサ・スタンスフィールドを起用して制作した「People Hold On」や「My Telephone」に匹敵するような楽曲が一曲もないのはつらい。また、かつてのエリックB&ラキムのリミックスに象徴的なように、元来コールドカットはUSヒップホップ勢と同期していることが強みだったわけだが(『Let Us Play!』でのファットな音ときたら!)、今作での線の細い音ではそこからも降りてしまったとしか思えないのだ。
まあ、物凄く丁寧に作られているのは分かるんだが、現役ミュージシャンとしてのコールドカットは前作でアガリだったのだなあ、という思いを強くした事だった。全12曲56分。