Juniper/She Steals Candy
★★★★
マイケル・シェリーの愛娘であるジュニパーの2ndアルバム。前作は現代版レスリー・ゴーアといった趣きのガールズ・ポップで、全曲が彼女の為に書き下ろされた楽曲だったが、今作は全16曲中11曲がカヴァー。
セイルズの「Bang!」やバングルスの「James」、ゴーゴーズの「Turn To You」といった前作の延長線上にあるパワー・ポップ路線の楽曲を取り上げつつ、今作ではデルバート・マクリントン(ジョン・レノンにブルースハープを伝授したアメリカのブルース/カントリー・シンガー)のナンバーを4曲も取り上げていたり、ジョニー・フォーチュンの「Don Stole My Girl」を「Dawn Stole My Guy」と改題してカヴァーしていたりと、シェリー家の音楽的ルーツが垣間見えるような内容。変わり種としてはKISSのジーン・シモンズのソロ曲「See You Tonite」をボサノヴァ調のアレンジでカヴァーしたりもしている。
書き下ろし曲で最も注目すべきは、マフスのキム・シャタックが晩年に書き遺した「Taste The Soup」が収録されていること。前作収録の「Poke Your Eye Out」と共に、キム(とリサ・マー)が2019年夏にジュニパーに託した楽曲はこれで全て完成したわけだ。素直に喜びたいと思う。務めを果たしたジュニパーさんは今年高校を卒業されるとのことです。