映画『The Go-Go's』(監督:アリソン・エルウッド)観賞。★★★★★。
自作自演のガールズ・バンドとして初めて(そして現在に至るまで唯一の)全米アルバム・チャート1位を獲得したアーティストであるゴーゴーズのキャリアを追ったドキュメンタリー映画が、2021年に入って日本でもひっそりと配信開始されていた。でも、彼女達の「Our Lips Are Sealed」をレパートリーにしているリンダ・リンダズが映画『モキシー』で大フィーチャーされた直後ということで、結果的には凄くいいタイミングになったんじゃないかな。
本作を観てよく分かるのは、ゴーゴーズはLAパンク・シーンの「光」を(少なくとも表向きには)体現していたバンドであり、ジェーン・ウィードリンのパンクな精神性こそがバンドの支柱となっていたということ。だから彼女が脱退したゴーゴーズは方向性を見失ってすぐに解散したのだ。映画内でも語られているが、バンド崩壊直前の3rdアルバム『Talk Show』はジェーンの貢献度が高いので自分は大好き。そして、その頑張りが周囲から認めてもらえなかった悔しさが彼女の涙からも伝わってくる。ちなみにジェーン・ウィードリンはソロ作品も素晴らしいので、そちらも必聴ですぞ。
というわけで、これまであまり語られることのなかったパンク・バンド時代の話にたっぷりと時間が割かれているのが嬉しい。ジェーンとジーナ・ショックが短期間だけ付き合っていたという秘話や、ジェーン・ウィードリン脱退後の穴を一瞬だけ埋めたポーラ・ジーン・ブラウンがシャーロット・キャフィーの命を救っていたことも明かされる(『グレゴリーズ・ガール』の「女の子は助け合うの」という言葉を思い出したりもした)。あまりにも波乱万丈なシスターフッドの物語。キャスリーン・ハンナも出てくるよ。傑作。