『プリーズ・ライク・ミー』のマシュー・サヴィルが監督を手掛けた「イージービーツ物語」こと『Friday On My Mind』を観た。ヤング家が英国からオーストラリアに移住してきたところから始まる2部構成のミニ・シリーズで、前編はイージービーツ結成から「She's So Fine」がオーストラリアで大ヒットするまで。後編では海外進出から大名曲「Friday On My Mind」の誕生、そしてバンドの解散までを描く(ドキュメンタリーじゃなくてドラマだよ)。
イージービーツの大きな特徴はオーストラリアのバンドでありながらオーストラリア出身のメンバーが1人もいない、つまりは移民のバンドであったということで、どこに行っても居場所がない、はみ出し者達のバンドであったということがこの物語の大きなテーマになっている。それにしてもヤング家は60年代にイージービーツ、70年代にAC/DCを輩出してオーストラリアのロック史を塗り替えて世界の音楽シーンに名を轟かせたんだからとんでもない一家やで。このドラマを観ると、道半ばで挫折したジョージ・ヤングとハリー・ヴァンダがイージービーツで学んだノウハウを活かしてジョージの弟達をプロデュースしたのがAC/DCとして結実したことがよく分かる。
ちなみに自分が一番好きなイージービーツのナンバーはダントツで「St.Louis」ね。彼等のラスト・アルバムに収録されている名曲で、ベースが延々と8分でAを刻み続けるのが超クール。YouTubeのコメントでも散々指摘されているけど、確かにこの辺りが初期AC/DCサウンドの萌芽になっていると思う。たとえば映画『スクール・オブ・ロック』のエンディング・テーマとしてもお馴染みの「It's a Long Way to the Top (If You Wanna Rock n' Roll)」の推進力なんかとも通じるものがある。