映画『Ordinary Love』(監督:リサ・バロス・ディーサ&グレン・レイバーン)観賞。★★★★★。
乳癌を患った妻とその夫の二人三脚による闘病生活を描いた、『グッド・ヴァイブレーションズ』の監督コンビの最新作。しかも脚本を執筆しているのは傑作児童映画『ミキボーと僕』の原作戯曲を手掛けたオーウェン・マッカファーティー。主演のリーアム・ニーソンも北アイルランド出身なので、個人的には北アイルランドの最強カルテットが集った作品ということになる。
『グッド・ヴァイブレーションズ』が夫婦というものを夫の側から描いた作品だったのに対して、本作は夫婦というものを妻の側から描いた作品であり、この2作はセットで観るのが望ましいといえるだろう。どちらも主人公達を取り巻く状況は深刻ではあるものの、決してお涙頂戴になることのないタフなユーモアが全編に散りばめられており、そこからこの監督コンビの優しさと「叩きのめされても、決して打ちひしがれてしまうことのない」スピリットを感じることができる。本作でいえば主人公夫妻は娘を早くに亡くしているのだが、そこを殊更強調することなく進んでいくストリーテリングが心地良い。
これは余談だが、リーアム・ニーソン自身も2009年に妻を事故で亡くしており、あんまりそれと結びつけて考えるのもどうかとは思うものの、本作での演技も真に迫るものがあった。